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こんにちはKMSの山下です。
ちょっとした工作機械のDIYにハマっています。

今日は表面実装基板の実装に使うバキュームピックをDIYしてみます。
表面実装基板というのはこんなもの
surface mount pcb
とにかく小さい部品を使うので、ピンセットで扱うのは大変です。

そこでバキュームピックというのを使うのですが、こりゃいいやと思って買ったこのピック、僕が扱っている1608(1.6mm×0.8mm)サイズの部品には先端の口が大きすぎました。

HAKKOのバキュームピック

先っぽに半田ペーストのシリンジに付いてきたニードルを取り付けてみたんですが、スポイト方式のこれでは吸引力が弱すぎて、すぐポロっと部品が落ちて使い物になりませんでした。

というわけで、吸引力の強いバキュームピックを自作します。
必要なものは以下。アマゾンへのリンク貼ってます。

僕が買ったのはニッソー エアーポンプ サイレント β-30という小さいポンプで、こいつがちょっと厄介でした。


仕組みは恐ろしくシンプルで、60Hz/50Hzの交流をそのままコア入りコイルに流して、ゴムのピストンみたいなのに付いた磁石が極性の変化で左右に振れることで空気を吐き出すというものです。

これを空気を吐き出すのではなく、吸い込むように改造します。

もう少し大きめのポンプだとコイルの両側にピストンが付いていて、左右を入れ替えるだけでいいみたいですが、β-30には一つしか付いていません。

上の写真の黒いゴムのカップの上に付いている白い箱をバラすと中が二つに分かれていて、穴が二つ空いています。それぞれゴムの薄膜が表と裏に一枚ずつくっついているので、それをあべこべにします。つまり空気を吸う穴を吐き出す穴に、吐き出す穴を吸う穴に変えてしまうわけです。できたら組み立て直します。

入れたり切ったりが簡単にできた方がいいので電源コードの途中にスイッチを仕込みます。このポンプは1.2Wなので電流も大したことなさそうですが、FabLab仙台の大網さんからもらった電力用スイッチが余っていたのでそれを使いました。

次にポンプにチューブを取り付けて、先端にディスペンサーニードルを取り付けます。根元に出っ張りがあったらやすり落としておきます。

最後に持ちやすいようにボールペンのガワか何かちょうどいい筒をかぶせてやれば出来上がりです。


こんな感じに設置して、右手でピック、左手でスイッチを操作できるようにしました。もっとこだわるならピックにモーメンタリプッシュスイッチを付けてもいいかもしれません。


部品を選んでスイッチを入れると


ピックアップできました!

これを半田ペーストを塗布済みの基盤に置いていって、最後にリフロー炉で一気に半田付け、ということをするんですが、それについてはまた次回。

以降こんな記事を書いていく予定です。お楽しみに!

  • リフロー半田付け、ホットプレートとオーブンの比較
  • 冷蔵庫のコンプレッサから作る真空脱泡器
  • シリコン製品のDIY、室温硬化(RTV)シリコンの選定
  • 3Dプリンタをチップマウンタ(Pick and Place)に改造



電子 原始生活

電気の気持ちがわかります。先祖の心を研究中。デジタル襖カラクリメンバー