こんにちは、本橋です。最近キエーロのことばかり考えています。自宅に設置したキエーロに生ゴミを混ぜ込む作業が楽しくて仕方ありません。この楽しさを神山町の皆さんにもぜひ味わってもらいたく、まるでゾンビのように仲間を増やそうと画策しているところです。
さてそんなゾンビライフのさなかに、週末の土日をかけて地元高校の寮『鮎ハウス』に住む高校生たちと一緒にキエーロを設置しました。
寮生は基本的に自炊をしています。もともと教員宿舎として使われていた建物を寮として使っているため台所には困りませんが、自炊をすると当然ゴミもでるわけです。そして神山町では生ゴミの処理は集積場所(役場の横)まで持っていかなければなりません。
回収日になると寮から1km離れた役場のゴミ回収場所まで生ゴミを捨てに行く、この一往復がキエーロの設置によってなくなるのであればと高校生たちは計画段階からかなり前向きでした。
ワークショップは工作機械の扱い方から入ります。さらにキエーロの設計、組み立て手順をなぞることで、将来的には自分たちで設計して組み立てられるようになることがワークショップの目標です。そんなに難しいものではないので、一度作ったという自信があればきっと自分たちだけでも完成させられることでしょう。
キエーロの設計は僕が作ったキエーロシミュレーターが手伝ってくれます。シミュレーターに作りたいキエーロのサイズを入力すると必要な木材の寸法を教えてくれますので、それに従って木材を切り出せば材料は揃います。切り出しと組み立ては丸ノコや電動ドライバーを使ったアナログな作業で完了します。
設計のあたりは未経験の初心者からするとなかなか厄介な部分です。ややこしいところはプログラムに任せてしまって、人間は友達とワイワイしながら材料の切り出しや組み立てをするという楽しい手作業に専念しましょう。
なお、プログラムはgithubに公開しています。こちらから入手してください。(OpenSCADというCADアプリで読み込みます)
キエーロワークショップ1日目
初日の午前中、まずはキエーロシミュレータを使った設計から始まりました。
キエーロにはバクテリア de キエーロという地面に直接据え付けるタイプと、ベランダ de キエーロというコンクリートの上やベランダに設置できるタイプがあります。どちらもシミュレータから設計可能です。
シミュレータではまずどちらを設計したいかを選び、設置する場所合わせて横幅・奥行き・高さを入力していきます。2019.5にリリースされたOpenSCAD最新版を使うと「Customizer」というウィンドウが現れるので、そこからも入力できます。
サイズを入れると切り出す必要がある板と角材のサイズが一覧で出力されます。ホームセンターによっては合板や角材を希望通りにカットしてくれるサービスを提供しているところがありますので、工具をを持っていない方はそういうサービスが利用できると便利かと思います。(どこまで対応していただけるかはお店の方に聞いてみてください)
材料の準備はこれに合わせて材料を用意すれば準備完了! ネジや蝶番など金具は別途ご用意ください。
必要な材料がわかったところで、午後はリストにしたがってガンガン切り出していきます。工作機械に不慣れな高校生たちでしたが、作業を進めるごとに扱い方を覚えていって頼もしい限りでした。
夕方からドッジボール大会があるので15時で一日目は終了です。予定していた切り出しまで完了しました。
キエーロワークショップ2日目
二日目は組み立てイメージを作るところからスタート。初日の設計に従って、テープで仮止めしながらインパクトで下穴を開けていきます。角材は下穴無しでコーススレッドを打ち込んでも割れることはなかったので、杉板だけ下穴を開けていきます。
ちなみにこの日に使った角材は40ミリ角、杉板は18ミリ厚でした。製材所のケンさんに聞いたところ板材のスタンダードは15ミリらしいので次回からは15ミリを使っていきたいと思います。
もう一台のキエーロは焼き杉で作りたいのでバーナーで焦がしていきます。これは焼きを入れることで腐食しやすい部分をさきに炭化させてしまって、腐食を防ぐ効果が期待される加工方法です。
なにせバクテリアで処理するキエーロのことなので木材部分の腐食速度も早そうですよね。僕らはバーナーで焼きましたが、ここは防腐塗料を塗ったりしてもいいかと思います。
準備が済んだらお昼休み、午後は切り出した木材を持って寮まで移動します。まずは設置場所の畑を掘り返して地面と土を用意しました。
接地型のキエーロは脚の部分を地面に打ち込んでいくため、ここからは現場合わせで作業を進めます。
まず埋め込む深さまで穴をほって柱を埋めて、四方向の壁をインパクトで固定していきます。下穴も空けているのでここの作業はスムース、だったはずが寸法が違っていたり、雨が降り出してしまい大変でした。今回のケースでは寸法違いはあんまり気にしなくても大丈夫。土が溜まればそれでいいんです!
屋根の組付けも現場合わせ。地面から伸びた柱の間隔に併せて梁の位置を決めないと蝶番代わりのボルトが合わなくなってしまいます。
日の字に角材を組み合わせたらボルトでつなげて、ポリカ波板(クリア)を傘釘で打ち付けたら完成です!
最初に掘り返した土をキエーロの中に詰めました。土は粘土とかでなければそのへんの土で十分だと思うんですが、不安な方は黒土とか買ってきてもいいかと思います。
一定の温度と湿度が維持できれば生ゴミを分解するバクテリアは生ゴミ自体にもくっついていますし、砂粒や土の粒がそれなりにあればバクテリアが繁殖するための表面積も確保できるはずです。バイオトイレなんかはオガクズ(と排泄物に含まれるバクテリア)だけで分解を実現しているわけですし、環境さえ用意してあげればきっとバクテリアたちは頑張ってくれます。
さて、設置作業は雨が本降りになる前になんとか終わらせることができました。夜には雷雨になってましたので間に合って本当に良かった。これで明日からはもう生ゴミを捨てに行く心配はなくなりましたね。
この寮は今年が1期目とのことで、来年・再来年と寮生が増えていくのだそうです。そのうちキエーロも2台だけでは手狭になっていくと思います。でも自分たちの手で一度作った経験があればもう大丈夫。キエーロの増築が必要になったら彼らが後輩に教えながら作っていってくれることでしょう。
もちろん困ったことがあればゾンビKMSがお手伝いします。いろんなチャレンジとともに3年間の神山生活を楽しんでいってください!
ドローンおじさんをやってたらプログラミング教材も作るようになりました。大人も子供もおねーさんも、プログラミングで遊べる世界を目指します。